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株式会社えとじや

マーケティングなんでも相談所

買わない理由を聞いてもあなたは何もできない
MARKETING

買わない理由を聞いても
あなたは何もできない

文 村雲圭・写真 松本卓也

 モテない学生、アキヲくんには、気になるクラスメイト、ハルナさんがいて、少なからぬ努力をしています。が、そんな気持ちにハルナさんは一向に振り向く気配はなく、なんとコージくんと付き合い始めてしまいました。
 思いつめたアキヲくんは、「どうして僕じゃなくてコージくんなんだ?ダメなところは直すから教えてくれよ」と尋ねました。
 ハルナさんは困惑します。コージくんと付き合い始めたのはコージくんが好きだから。
 アキヲくんと比べてないし、ましてやアキヲくんのダメなところなんて、これまで考えたこともありません。
そもそもアキヲくんがダメなところを直したとしても、じゃあアキヲくんに、なんてなるはずがありません。

 と書くと、極めてどうでもいい話になりますが、ホントに多いんです。
 リサーチで「XX(自社製品)を買わない理由は何ですか?」という愚問。
 ほとんどの場合、その答えは、「え、考えたことありませんでした」だと思うのですが、そんな選択肢は回答用紙にはないので、皆さん無難に、例えば「価格」と答えるわけです。
 自由回答の場合でも、「買わない理由は何ですか」に対して「え、考えたこと…」と書くのは問答になっていないので、「価格」「他のものを買っているから」「無回答」が三大回答となります。

 積極的に選んでいるものやお金を払っているものには意思を伴っているので、買う理由を聞けますが、選んでいないものについては無意識下での排除をしているので、その理由を説明してもらうのは困難です。
 車や住宅など高額のものは違うかも知れませんが、消費財程度のものでしたら本当に欲しいもの、価値があるものには少々高くても皆さんお金を払います。自社商品を買わない理由は「価格」と言われて、安易に価格を下げてしまわないよう、ぜひともお気をつけください。

 ところで、選ばない理由を聞けてしまう例外があります。その商品が嫌いで、積極的に選ばない場合。その時は嫌いな理由をはっきりと示してくれますが、そこまで嫌われると、それを直したら選んでもらえるってものでもないですね。
 (過去に嫌な目に遭った知り合いが、「私は昔の私じゃない!」といって現れても、あらそうですか、とはなかなかいかないですよね。こんな宣言しているブランドを時折見かけますが。)

 ついでに。
 「じゃあ僕のどこがコージくんより劣っているんだ!身長か?」とまさにスペック比較をしてコージくんに追いつこうとする方が時折おられますが(そして実際に努力して追いついて、「なぜ売れないんだ、同じ条件なのに…」と嘆く)、そういう問題でもないんですよね。

 ということで、なぜ買わないのか、は聞くのはやめましょう。

 ではどうすればいいのか、のヒントです。

  1. ブランド「コージ」が好きな理由、どうやって知り合って、どこに惹かれたか、今、どう思っているかをじっくり聞く。
  2. ブランド「アキヲ」のことを好きなタイプの人を探して、そのひとたちが、どんなひとなのか、どんな価値観やニーズ、考え方を持っているひとなのかを聞いて、共通する、でも、ぱっと見てわからないものを明確にする。
  3. 最近、ブランド「アキヲ」を好きになったひとに、何がきっかけだったか、どう感じたのか、好きになる前とあとで何がどう変わったのか、を聞く。

 こうした情報をもとに、「買わない障害・バリア・理由」を考える、のが、マーケターの仕事。あなたの仕事なので、消費者に直接聞いて、答えを教えてもらおうなんて虫が良すぎるわけです。

 ということで、「自分を好きになってほしいけど他の人が好き」な人に、自分のことを聞いてもあまり仕方がないですよ、というお話でした。